犬の肝不全!予防・早期発見のために飼い主さんができること

犬の肝不全は、肝臓に障害がおこり肝機能が大きく低下する、命に関わる危険な病気です。

 

「沈黙の臓器」とも言われている肝臓は、なかなか症状があらわれにくく、気づいたときには重症化している場合も少なくありません。

 

早期発見・早期治療につなげるためには、まず肝不全という病気を理解しておく必要があります。今回は、犬の肝不全の症状や予防法について詳しくお話ししていきます。

 

犬の肝臓の働きについて

肝臓はとても重要な臓器

犬の肝臓は体内で最大の臓器と言われ、その重さは体重の2?3%もあります。

 

肝臓の働きは、栄養素の分解・合成・代謝・解毒、全身の血液の循環量の調節や胆汁という消化液を作るなど、細かく分けると実に500種類以上もあることが分かっています。

 

その中でも、体内で作られるアンモニアなどの有害物質・体内に入ってくる有害物質を解毒する働きは、とても重要です。

 

このように多様な働きをしているため、肝臓の病気を発症した場合、肝臓だけでなくすべての健康問題に悪影響を与える可能性があります。

 

肝臓は無理をしていても症状があらわれにくい

犬の肝臓はとても我慢強くタフな臓器です。たとえ一部の肝細胞が壊れても、残りの肝細胞でその機能を補うことができます。

 

また肝細胞は再生も活発ですので、がんばって再生を繰り返すうちに細胞組織の線維化が徐々に進行して、肝臓は硬くゴムのようになっていきます(肝硬変)。

 

肝臓はナント80%以上の肝細胞が壊れない限りほぼ正常に機能しますので、肝炎や肝硬変が気づかないまま進行し、肝機能が大きく低下する肝不全の状態になって、初めて病院を受診するというケースも珍しくありません。

 

犬の肝不全はさまざまな肝臓病が進行して起こる病気

犬の肝不全は、肝炎や肝硬変など、さまざまな肝臓病が進行した結果起こる病気です。

 

肝不全を発症した段階で既に重度の肝機能障害が起きていますので、とても深刻な状態だと言えます。

 

犬の肝不全の原因について

犬の肝不全は原因により、「先天性」「慢性」「急性」の3つに分類されます。それぞれの肝不全の特徴を順番に見ていきましょう。

 

先天性

肝臓に関係する先天性の病気には「門脈シャント(門脈体循環シャント)」があります。門脈は栄養素や有害物質などを肝臓に運ぶ血管ですが、門脈シャントは、門脈の血液が先天的な異常により、肝臓を通らずに全身に循環する病気です。

 

本来肝臓で解毒されるべきアンモニアなどの有害物質が全身を循環することになるため、この病気をそのまま放置しておくと、肝機能障害・尿道閉塞などの泌尿器症状・肝性脳症と呼ばれる神経症状を引き起こします。

 

外科手術以外では、根本的な治療が望めません。

 

慢性

慢性の場合は、原因が特定できないことも少なくありません。数か月から数年かけて徐々に進行していきます。主な原因としては、薬物治療による肝臓へのダメージがあります。

 

コルチコステロイド(プレドニゾロンなど)・抗生物質・抗てんかん薬などの薬物を長期にわたり服用することで、肝臓に障害を引き起こします。

 

食事内容も肝不全の原因となります。ドッグフードや犬のおやつの中には、添加物がふんだんに使われている危険なものがたくさんあります。

 

飼い主さんの勉強不足で間違えた食生活を送っていると、愛犬の健康は徐々に損なわれていくことになります。

 

何らかの原因で肝臓が慢性的にダメージを受けていると肝細胞が徐々に壊れていきますが、肝臓は再生能力がとても高い臓器です。

 

がんばって再生を繰り返すうちに細胞組織の線維化が徐々に進行していきます。慢性の肝臓の病気には、慢性肝炎・肝硬変などがありますが、これらが進行した結果「肝不全」となります。

 

急性

ウイルスや細菌による感染症

急性肝不全は、数日から数週間で急速に進行します。急性の原因のひとつが、ウイルスや細菌による感染症です。

 

「犬アデノウイルスI型」の感染による犬伝染性肝炎や、「レプトスピラ」の感染によるレプトスピラ症などがあります。

 

  • 犬アデノウイルスI型

感染した犬の涙・鼻水・唾液・嘔吐物・糞尿などを、ほかの犬が舐めたり触れることで感染します。

 

ウイルスはとても強く、感染した犬が回復した後も体内で半年ほどは生存することができます。そのため気づかないうちに感染が広がる可能性もあります。

 

感染しても犬伝染性肝炎を発症しない場合もありますが、免疫力の弱い犬(子犬・高齢犬・ほかの病気を持っているなど)は要注意です。

 

犬伝染性肝炎は一度発症すると完治が難しい病気です。進行していくと慢性肝炎になり、脳炎やほかの感染症を引き起こして死に至るケースもあります。

 

  • レプトスピラ症

感染したネズミ・犬などの尿や、その尿に汚染された水たまりや土に接触したり、汚染された水・食べ物を口にすることで感染します。

 

レプトスピラという細菌が感染することにより、肝障害・急性腎不全などを引き起こします。

 

感染しても症状があらわれない場合もありますが、重篤になれば命を落とすこともある怖い病気です。

 

レプトスピラ症は人獣共通感染症(ズーノーシス・人畜共通感染症)ですので、愛犬だけでなく飼い主さんも注意してほしい病気です。

 

事故や転落・ほかの病気・毒素による中毒など原因はさまざま

急性肝不全は、さまざまなことをキッカケに発症します。

 

交通事故や転落などによる肝臓の損傷・敗血症や熱中症などの病気・ノミマダニなどの寄生虫の駆虫薬による中毒・除草剤や殺虫剤などの中毒もあります。

 

愛犬の肝不全のサインを見逃さない!

犬の肝不全の初期症状

 

  • 元気喪失
  • 食欲低下
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 体重減少
  • 多飲多尿

 

犬の肝不全の初期症状にはこれといった大きな特徴がないものもあり、飼い主さんが気づくのはなかなか難しいかもしれません。

 

日ごろから注意深く観察して、愛犬の異変にできるだけ早く気づいてあげるようにしたいですね。

さらに進行していくと・・・

症状が進行していくと、特徴的な症状としてまず、黄疸が見られるようになります。

 

人間と違って全身が毛で覆われているため、皮膚で黄疸を確認しにくい場合は、白目の部分が黄色くなっているかどうか確認してください。

 

肝不全になると、全身の血液の循環量を調節する機能も低下してしまいます。新鮮な血液が回らなくなるため、腎臓の機能が低下し腎不全を併発する場合もあります。

 

重篤な場合は、腹水・血便・血尿・吐血も見られるようになります。血中のアンモニア濃度が高くなり脳がダメージを受けた場合は、肝性脳症を発症し、やがては昏睡状態となります。

 

犬の肝不全の治療法は外科手術・薬物治療・食事療法など

肝不全の治療は、症状を緩和し生活の質を維持していくような対症療法や、残っている肝機能を守るための維持療法が主な治療法となります。

 

外科手術

先天性の門脈シャントが原因となっている場合は、外科手術を行うことで回復していきます。

 

薬物治療

肝不全の段階で既に重度の肝機能障害が起きているため、本来の機能(再生など)による回復はあまり期待できません。

 

そのため、痛みを抑えるための鎮痛剤・食欲増進剤・症状の進行を止めることを目的とした抗炎症剤や抗線維化剤などが、状況に応じて投与されます。

 

このほかにも、体内のアンモニア吸収を軽減するための抗生物質や、腹水の治療に利尿剤が使用されます。

 

肝不全は完治が難しい病気ですので、薬物治療は生涯にわたって続けなければなりません。

 

長期間の薬物治療による副作用が原因となっている場合は、副作用を最小限に抑える必要があります。

 

定期的に血液検査を行うことで肝臓への影響を見極めながら、投薬量の調節やほかのお薬と併用することが可能か検討することになります。

 

食事療法

肝不全の場合、食事療法は薬物治療と同じくらい大切です。肝不全を回復するためには、肝細胞の再生を助ける良質なたんぱく質が必要ですが、肝臓病の療法食はそれとは真逆の超低たんぱく質です。

 

たんぱく質を消化する際に発生する腸内のアンモニア量を減らす効果があるため、肝性脳症の場合は療法食が適していますが、それ以外の場合は低蛋白血症を引き起こしかねません。

 

肝不全といっても状態はそれぞれ違ってきますので、肝臓病の療法食に切り替えるときは必ず獣医師に相談するようにしましょう。

 

犬の肝不全の予防法

犬の肝不全は、予防と早期発見・早期治療がとても重要な病気です。

 

年1回以上の血液検査で早期発見につなげる

肝臓の病気は症状があらわれにくく、肝不全の状態になってから気づくということも珍しくありません。肝不全の状態にまでなると完治することは困難です。

 

早期発見・早期治療ができれば、完治できないとしても、適切な治療や食事療法で症状を緩和しながら生活させてあげることができます。

 

年1回のフィラリアの検査のときに、肝臓に関係する検査項目の血液検査を一緒にお願いしましょう。症状があらわれにくく緩やかに進行していくことが多い肝臓の病気は、定期的に確認していくことが大切です。

 

ウイルスや細菌による感染は年1回のワクチン接種で予防できる

急性肝不全の原因となる犬伝染性肝炎とレプトスピラ症は、幸いにも予防することができます。

 

年1回のワクチン接種を忘れずに受けるようにしましょう。

 

肝不全の予防にはドッグフード選びが重要

毎日の食事で肝臓に負担をかけないよう心がけてあげることが、飼い主さんができる肝不全の一番の予防になります。

 

肝臓に良いドッグフード選びのポイントは3つ!

  • 高品質のたんぱく質を含むドッグフードを選ぶ

 

  • 消化に良い炭水化物を含むグレインフリー(穀物不使用)のドッグフードを選ぶ

(穀物はアレルギーや消化不良の原因になることが分かっていて、世界的にもグレインフリーのドッグフードが主流になりつつあります)

 

  • 人口添加物・保存料・着色料・香料などが含まれていない安全なドッグフードを選ぶ

(毒性のあるものを解毒し続けると、肝臓に大きな負担がかかります)

 

愛犬に与えているドッグフードは、この3つのポイントをすべてクリアしていますか?この機会に、愛犬に与えているドッグフードの原材料などを確認してみてくださいね。

 

まとめ

犬の肝不全を100%予防することはできませんが、大切な愛犬を肝不全にしないために飼い主さんができることがあります。

 

毎日の食事内容・定期的な血液検査やワクチン接種」など、日頃から予防を心がけてあげましょう。

 

パン君のドッグフードランキング

 

パン君のドッグフード参考記事